第5回海上人命安全条約(SOLAS)締約国政府会議

1. 経緯等

平成13年9月の米国同時多発テロ事件を契機として、国際海事機関(IMO)において平成14年2月から計4回にわたり海事分野のテロ対策の強化についての検討が重ねられてきたところ、その検討の成果をとりまとめることを目的として、平成14年12月9日から13日の間、ロンドンのIMO本部において第5回海上人命安全条約締約国政府会議が開催されました。

2. 日本側代表団

我が国からは、中本国土交通省大臣官房審議官を代表団長として、国土交通省海事局、港湾局、海上保安庁、外務省等の政府関係者、民間海事関係者等が出席しました。
同締約国会議の冒頭、スペイン等の推薦により、中本大臣官房審議官が副議長(Vice President)に選出されました。

3. 審議結果

概略以下の内容を義務化する海上人命安全条約(SOLAS条約)の改正並びに船舶及び港湾の国際保安コード(ISPSコード:新規コード)が採択されました。

  • (1)船舶自動識別装置(AIS)の早期導入
    国際航海に従事する旅客船及びタンカー以外の総トン数300トン以上50,000トン未満の船舶は、2004年7月1日以降の最初の安全設備検査又は2004年12月31日のいずれか早い時期までにAISを搭載すること。(なお、新造船、旅客船、タンカー及び総トン数50,000トン以上の船舶については2004年7月1日までに措置するよう既に措置されている。)
  • (2)船舶識別番号の表示
    国際航海に従事する旅客船及び総トン数500トン以上の貨物船のうち、2004年7月1日以降に建造される新造船については建造時に、それ以外の現存船については、2004年7月1日以降の最初のドック時期までに、船体外板、水密隔壁等に船舶識別番号を表示すること。
  • (3)履歴記録の備え付け
    国際航海に従事する旅客船及び総トン数500トン以上の貨物船は、2004年7月1日以降、主管庁の発行する旗国の名称、当該国に登録された日付、船名、船籍港等の情報が含まれた履歴記録を船内に備え付けること。
  • (4)保安計画の策定等
    2004年7月1日までに、国際航海に従事する旅客船及び総トン数500トン以上の貨物船並びにこれらの船舶が使用する港湾施設を対象に以下を措置すること。

    ・船舶内の立入制限区域の設定、船内巡回の実施、部外者の出入りのチェック等を内容とする船舶保安計画の策定及び船舶保安計画に責任を有する保安職員を船舶及び会社のそれぞれに配置すること。

    ・港湾施設内の立入制限区域の設定、港湾施設への出入りのチェック等を内容とする港湾施設保安計画の策定及び港湾施設保安計画に責任を有する保安職員を配置すること。
  • (5)警報装置の導入
    2004年7月1日以降に建造される新造船については建造時に、それ以外の現存船については、船舶の積荷の種類等に応じて定められる期日(旅客船、総トン数500トン以上の油タンカー、液体化学薬品ばら積み運搬船、ガス運搬船、バルクキャリア及び高速船:2004年7月1日以降の最初の無線設備の検査日、その他の総トン数500トン以上の貨物船:2006年7月1日以降の最初の無線設備の検査日)までに、テロ等により船舶が危険な状況にあることを沿岸国等に通報する警報装置を設置すること。
  • (6)寄港国による監督措置
    上記改正条約等の要件を船舶が満たしていることを確認するため、寄港国は監督を行い、要件を満たしていない船舶が港内にある場合には、従来のポートステートコントロールによる出航差し止め等の措置に加え、港からの排除といった強制措置を執ることができ、また、このような船舶が領海内で港に入ろうとしている場合には、入港拒否を含む所要の措置を執ることができることとされた。
    ただし、港湾からの排除及び入港拒否といった強力な強制措置は、急迫した脅威があり、その脅威を除くために他に適切な方策がない場合にのみ執ることができることとされた。

4. その他

今般の締約国政府会議において採択されたSOLAS条約の改正及びISPSコードは、一定期間内に異議通告を行わない限り、2004年7月1日をもって、効力を発生する。